EM-EEFケーブル(エコ電線)の加工 その2です。
ブログを発見した職業訓練校の受講生さんからメールで質問もありましたので、急遽記事起こしを。
細かい部分は、メールにて解説させていただきましたが、写真も撮影出来たので載せていきます。
VAストリッパでシースに切れ目を入れた部分です。画像クリックで拡大表示します。
両端は刃が入っていますが、広い側の面には十分に刃が入っていません。
十分に入ってしまうと、中の絶縁被覆を傷つけてしまいますからこれでいいのですが、EF−EEFの場合は、粘るものですから必要な分、刃が入っていない状態になってしまうわけです。
薄い側が引っ張られるように、シースをくの字に曲げてやります。
膜のようにシースが伸びますが無視して構いません。
同様に反対側からも曲げてやり、これを2〜3回繰り返すとシースは切り離されます。
多少膜が残っても差し支えありません。
シースの平たい側にV字の傷が入ると、その深さにかかわらず欠陥を取られ、2cm以上では重大欠陥となります。しかし、この膜が残っている状態は欠陥にカウントされませんので、無理にペンチでむしり取ったりしないようにしてください。絶縁被覆にペンチ傷等がついてしまえば、欠陥と成り兼ねません。
下の写真は、切り離された状態のシースです。
絶縁被覆とシースの間に白い粉が入っていますね。被覆同士が固着しないように処理されていますが、指が滑って作業しづらいので、剥ぎ取ったらこれも拭っておきましょう。
少量ですし、有毒ではないはずなので汗拭きのハンドタオルか何かで拭いてしまえばいいかと思います。
そうそう、実技試験の時にハンドタオル必須ですよ(笑)カンニングには使わないでね。
こちらも拡大するとわかりますが、被覆は切れるというよりも潰された感じですね。
このままでは、引っ張っても抜けません。先ほどの白い粉も銅線との間には施されていませんから、ケーブルの保存状態によってはかなり張り付いている場合があります。
前回はここで、電工ナイフによる追加施工をご紹介しました。実は今回ご紹介する方法のほうが速く簡単にできるのです。
「じゃぁなんでこっち先に書かないんだよ!」
と、声が聞こえてきそうですが、理由があります。
2.0mm電線は電源の部分に指定される場合がほとんどですので、長さも短く器具も取り付けられていない状態です。シースと絶縁被覆の間には例の粉が入っていますので滑りやすく、ペンチで引っ張るような動作をすると絶縁電線が抜けてきてしまいます。また、強く挟むことで中の導線に傷をつけてしまう場合があり、扱いに慣れるまではナイフの方が確実なのです。
さらに言えば、オール・ナイフの方が、速く確実なのですが。
また、VAストリッパからペンチへの持ち替えも時間のロスになりますね。
ペンチで強く挟まないように注意して、けして引っ張らずに回転させます。
強く挟むと、絶縁被覆で銅線を押さえつけるようになるので、これでは剥けるものも剥けません。
根元側と剥ぎ取る側の隙間に、指の先を引っ掛けるような感じで、す〜っと引っ張ると、ほとんど抵抗なく抜き取ることができるはずです。
おまけ
ナイフのみでの加工は、VVFケーブルの処理と変わりません。
まず、シース剥ぎ取りの部分に輪切りを入れます。深く入れすぎないでください。
VVFの2.0mmよりもやや固く感じるかと思いますが、あまり深く入れてしまうと絶縁被覆に傷を入れてしまいますから要注意です。VVF2.0mmとおなじ感覚で十分だと思います。シースの厚みの1/3も入っていれば剥ぎ取れますから。
このサイトではナイフの使い方については細かく触れませんので、どうやって刃を入れるかは書きませんが、私の担当する訓練校の受講生さんには、講義で「怪我をしない理屈」について口うるさく指導いたしますので、十分理解した上で加工してください。
市販テキストでよく紹介されている方法は間違いではありませんが、施工ミスをしやすかったり時間がかかったりするものが多いように思います。※最終的にどの方法で施工するかは皆さん次第ですが。
縦ざきもVVFと変わりません。横に入れた傷の1mm手前ぐらいでストップさせてください。見えていない裏側に注意です。裏側は正直刃が入っていなくても剥けるので(着物を脱ぐ状態をイメージするとわかるかな?講義では作業服の上着を脱ぐパフォーマンスをしますが、背中は開かなくても脱げますよね。)
あとは、引きちぎるように引っ張れば加工完了です。この時、必ず剥ぎ取る方向のみに引っ張ってくださいね。ササクレを逆さに向くと悲しいことになりますよね。それと一緒です。
刃の入りが浅すぎると、中央部に少し膜っぽくシースが残りますが、これは欠陥にはカウントされませんので、そのまま無視して次の工程に移ってください。
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